㈱近藤義歯研究所での義歯の製作場合の基準

中心位の分類
ゴシックアーチの関係
ポイントセントリック

中心位(CR)と中心咬合位(CO)の
一致した位置
(点)を
ポイントセントリックと言う
CR:centric relation
中心位
筋肉位
 少数歯の残存
 無歯顎
 広範囲の補綴
CO:centric occlusion
中心咬合位
咬頭嵌合位
 多数歯の残存
 有歯顎欠損
 小範囲の補綴
ゴシックアーチ(GOA)

による咬合採得
咬合床、ワックスバイト、咬合堤、シリコンバイト
による咬合採得
咬合させないでとるバイト 咬合させて採るバイト
【アイヒナーの分類】
ここにアイヒナーの分類の考えを取り入れることでゴシックを採得するか咬合床などで採得するかを選択する基準や指標になる。
B2~C3 A1~B2
こちらはGOAバイト こちらは咬合床バイト
以上のように分類できる
ここから下は知ってる理解が深まります。是非知って下さい。
詳しくは㈱近藤義歯研究所セミナー係りまで。
ゴシックアーチ  GOA
【ゴシックアーチ】ごしっくあーちGothic arch 

[床]下顎の側方限界運動時に切歯点部,あるいはその他の下顎上の点によって水平面上に描かれる矢じり状の運動路である.運動路がゴシック風建築の屋根に似ていることからGysiによって命名された.ゴシックアーチの頂点(アペックス)は上顎に描記釘(針),下顎に描記板をおいた場合には前向きに,逆においた場合には後方を向く.ゴシックアーチの頂点は中心位と一致する.ゴシックアーチの展開角は側方切歯路角であり,Gysiによれば120°である.→アペックス→口内描記法→切歯路描記法
【アペックス】あぺっくすapex of Gothic arch《アローポイント arrow point》

[床]ゴシックアーチ(下顎側方運動における後方限界運動経路を水平面上に投影したときに描かれる図形)における左右経路の交点である.日本語ではゴシックアーチの頂点と一般的によばれている.正確に描記された頂点は中心位を示すものと考えられることから,上顎に対する下顎の水平的な位置を決定するときに用いられる.水平的顎位の決定に用いる場合には,ゴシックアーチを描記し,アペックスと,安静位付近からの習慣性閉口運動路の上限点であるタッピング点とを重ね合わせて比較検討する.
【ゴシックアーチトレーサー】ごしっくあーちとれーさーGothic arch tracer《ゴシックアーチ描記装置 Gothic arch tracer》 

[床]ゴシックアーチを記録する装置である.口内描記装置と口外描記装置がある.口内法のものは上下顎の記録床に直接描記釘と描記板を付着して用いる.上下顎のいずれかの記録床の中央部に描記釘を,対顎には描記板を取り付ける.口外ゴシックアーチトレーサーは,口腔内の記録床に取り付けられる中央支杆部と下顎の記録床に取り付けられて口腔外の口唇前方に突出する描記板と,上顎の記録床に取り付けられて口外へ突出する描記針とからなる.口内法のものは小型で取り扱いが容易で記録床の安定もよく,その運動路は下顎運動のものと同量であるなどの利点がある.しかし,描記時に描記路を直視できず,また描記針が中央支杆装置をかねていることから細い描記針を用いることができないので,描記路の精度が劣ることが欠点である.口外法では運動路が直視でき,そして実際の運動量よりも拡大されるために中心位の確認が容易であるが,装置が口内法のものより大がかりであり,安定性がやや劣り,円滑に描記できないことがある.ゴシックアーチトレーサーa:口外描記装置ゴシックアーチトレーサーb:口内描記装置
【ゴシックアーチ描記法】ごしっくあーちびょうきほうGothic arch tracing method 

[床]設定された垂直顎間関係において上下顎記録床にゴシックアーチトレーサーを付着し,下顎の側方限界後方運動路を描記し,そのゴシックアーチから下顎の水平的位置関係を他覚的に診査しようとする方法である.主として多数歯欠損,無歯顎症例などの咬頭嵌合位が失われて不明な症例の水平的咬合位の診査・診断の一つの方法として用いられる.描記された左右側方限界運動路は,下顎の後退位で一点を介して扇形となる.この点は,下顎が上顎に対してその咬合高径において最も後退した位置であり,この位置から側方運動も可能な位置である.この運動路は限界運動であるので再現性があり,得られた描記路から顎関節部や筋の異常などをある程度知ることができる.咬頭嵌合位が不明なすべての症例に適用すべきである.→口外描記法
中心位関連の意味をまとめました
centric

①中央の
relation

①関係;関連②親類
occlusion

①閉塞②<歯科>かみ合わせ
【中心位】ちゅうしんいcentric relation

《蝶番位 hinge position;終末蝶番位 terminal hinge position;セントリックリレーション centric relation》 [冠]関節結節の形態に対して前最上方にあり,それぞれの関節円板中央部の最も薄く血管のない部分で咬合する上下顎関係をいう.この位置は歯の接触とは関係ない.また,このとき蝶番軸が生じ,下顎はこの周りを純粋に回転する.→下顎位→終末蝶番運動→終末蝶番〔運動〕軸→偏心位
【中心咬合位】ちゅうしんこうごういcentric occlusion(CO)

《セントリックオクルージョン centric occlusion》 [冠]上下顎の歯が最も緊密に咬合した下顎の位置である.中心位における上下の歯の噛み合わせの意味あいを含んだ語であるが,最大咬頭嵌合位と同義に用いる場合もある.→咬合位→咬頭嵌合位
【咬頭嵌合位】こうとうかんごういintercuspal position;maximum cuspation 

[冠]下顎頭の位置によらず,上下の歯が最大面積で接触する下顎位,あるいは密接に嵌合し安定する位置をいう.最大咬頭嵌合位とよぶこともある.略語としてICあるいはICPが使われる.→下顎位→咬合位→習慣性開閉運動→中心咬合位
cusp

(歯・月などの)
とがった先
cuspid 犬歯
cuspate

尖った
cuspidate
とがった
【習慣性咬合位】しゅうかんせいこうごういhabitual occlusal potion 

[床]習慣性閉口運動の終末位において,上下の歯が接触する咬合位である.習慣性閉口運動の終末位は咬頭嵌合位に収束することから,習慣性咬合位は咬頭嵌合位と同義語として用いられている.→咬頭嵌合位
【咬合位】こうごういocclusal position 

[冠]下顎を閉じて,上下顎の歯あるいは人工歯が接触したときの,上顎に対する下顎の位置関係をいう.この位置は漠然としているため,その位置を規定する必要のある場合はその語を頭につけて前方咬合位,側方咬合位,中心咬合位などとして用いる.咬頭嵌合位(咬頭嵌合咬合位とはよばないが)もこの一つである.→咬頭嵌合位→中心咬合位
position

①位置;場所②立場,地位③職業,仕事④態度,見解⑤姿勢
【下顎位】かがくいmandibular position 

[冠]上顎あるいは頭蓋に対する下顎の位置をいう.咬頭嵌合位,安静位,最大開口位,中心位などそれぞれが下顎位であり,下顎運動の解析や診断に重要である.このうち中心位は顎の機能異常,顎関節症,歯周疾患などに対する咬合診断を行ううえでの基準として重要である.また,下顎位は顎関節内の下顎頭の位置による顆頭位,上下顎の歯の接触によって決まる咬合位,筋の活動によって決まる筋肉位にも分類される.→咬頭嵌合位→中心位
mandibular

①下顎骨の
【下顎安静位】かがくあんせいいrest position of mandible

《姿勢維持位 postural position;安静位 rest position;生理的下顎安静位 physiologic mandibular rest position》 [床]起立または椅位の姿勢で,上半身と頭を直立して前方を直視し,気楽な気持ちで安静な姿勢を保っているときの下顎位である.下顎骨が下顎に付着する筋群のバランスのとれた緊張によって,上顎骨に対して垂直的にも水平的にも,ほぼ一定の範囲内に安定する状態である.このとき上下口唇は軽く接し,上下の歯は接触がなく咬合面間には2~3mmの安静空隙が存在し,顆頭は関節窩内で無理のない状態にある.顆頭位は関節窩内で中心咬合位と比較すると約0.5~1.0mm前下にある.下顎安静位は開閉口筋の平衡によって保たれている下顎位であるために,姿勢維持位(postural position)ともよばれている.→安静空隙
mandible

①<動物><解剖>(ほ乳動物・魚の)あご;(特に)下顎(かがく)骨②(鳥の)くちばし;(昆虫の)大あご
rest

①休息,②睡眠安眠休む,静止する,休ませる②すえる,置く,のせる.
【安静空隙】あんせいくうげき free way space; interocclusal clearance; interocclusal distance
                   《フリーウェイスペース free way space》 

[床]下顎安静位と咬合位における上下顎垂直距離の差をいう.一般に2~3mmである.下顎安静位では,下顎骨は下顎に付着する筋群のバランスのとれた緊張(姿勢反射)によって,上顎骨に対して垂直的にも水平的にもほぼ一定の範囲内に安定し,上下の歯は互いに接触していないで安静空隙を残し,顆頭も関節窩内で無理のない状態にある.この距離は,咬合高径の診査・診断,決定基準として用いられる.
interoffice

①社内の,部局間の
clearance
①(…の)取りかたづけ,除去(~of)②二つの物の間の)あき,余裕
【偏心位】へんしんいeccentric position;eccentric relation 

[冠]中心関係以外の上顎に対する下顎の関係をいう.通常,中心位または中心咬合位に対して用いられ,前方偏心位と側方偏心位に分けられる.このとき,歯の接触関係からは偏心咬合位とよび,前方咬合位と側方咬合位に分けられる.→中心位
eccentric

①風変わりな
◆an eccentric person, 変人.
【習慣性偏心咬合】しゅうかんせいへんしんこうごうhabitual eccentric occlusion 

[床]咬頭嵌合位以外の咬合位で習慣的に嵌合している状態をいう.不適合な義歯を装着している人や適正な咬合関係を喪失している場合などに多くみられる.このような咬合状態は,機能的な下顎位でないために健全な神経筋機構が阻害されることが懸念される.
habitual

①(行為が)癖になった,例の,いつもの
②常習的な
.
【ロングセントリック】ろんぐせんとりっくlong centric 

[冠]中心位接触と咬頭嵌合位の間で,咬頭干渉がなく,また咬合高径を変えることなく,中心位かあるいはそのわずか前方に下顎が開口する自由域のことである.中心位と咬頭嵌合位の一致したポイントセントリックに対して用いられる.普通,天然歯列ではみられず,咬合調整やフルマウスリコンストラクションの結果として生じる.
ゴシックに必要な言葉
【ワイドセントリック】わいどせんとりっくwide centric;freedom in centric
《中心域の自由性 freedom in centric》

[冠]ロングセントリックが中心位と咬頭嵌合位における前後的自由性であるのに対し,これに左右的自由性を与えたセントリックをいう.ブラキシズムや顎関節機能障害の患者に対して,中心域での滑走を完全に除去することによって生じる.
【嚥下位】えんげいswallowing position 

[床]嚥下時の下顎位である.嚥下時には下顎はやや後方から閉口して咬合接触するが,食塊の有無によってもその位置は多少異なることが知られている.空嚥下時の嚥下位は咬頭嵌合位より後方,中心位に近い位置で接触し,前方滑走後咬頭嵌合位へ,また咀嚼における嚥下位は咬頭嵌合位で接触するという報告もある.嚥下位は比較的安定した歯牙接触位をとることから,無歯顎治療における顎間関係の決定法の一つとして用いられているが,末次(1961)は,無歯顎者では嚥下位は下顎安静位の上方にあり,その分布幅は10mmにも及ぶと報告している.嚥下位を無歯顎者の咬合高径の決定に利用すると,適正な咬合高径よりも低くなる可能性があるので注意を要する.
【靱帯位】じんたいいligament position of mandible 

[床]下顎の終末蝶番運動は外側靱帯の関与によって可能になることから,中心位は靱帯位とよばれることがある.
【顆頭安定位】かとうあんていいneutral condylar position;stabilized condylar position 

[床]顆頭が関節窩内に無理なく,最も安定する位置である(大石,1967).多くの場合,咬頭嵌合位時の顆頭位に一致する.咬合の診断,咬合の再構成などの基準位として重要な顆頭の位置である.咬頭嵌合位が明確な場合は前後的に0.3mm,上下的に0.1mm程度の動きの範囲にあること,咬頭嵌合位が不明確な例ではこの動きの範囲が大きいことが認められている(川畑,1971).
【終末蝶番運動】しゅうまつちょうばんうんどうterminal hinge movement 

[冠]下顎を後退させ,下顎頭が顎関節窩内で前方で最上方に位置したところで行われる下顎の開閉運動である.すなわち,終末蝶番軸を軸とした純粋な顆頭の回転運動である.この運動は顆頭の回転に伴う滑走は認められず,矢状面からみたとき,上下顎切歯間の開口量が約20~25mmの範囲で発生する.この運動路の再現,安定性は高く,中心位を求める方法として利用される.また,この運動の範囲内では,顆頭の位置が変化しないことから,終末蝶番軸を咬合器の開閉軸と一致させてあれば,中心位のチェックバイトを開口状態で採得できるし,咬合器上で咬合の高さを変えることもできる.→中心位終末蝶番運動
terminal

①<米>(バス・鉄道の)終点,終着駅.(=<英>terminus)②末端
①終点にある;毎学期の
movement

①運動,動作;移動;動勢,動向②<音楽>テンポ,楽章③(政治的・社会的)運動
【終末蝶番〔運動〕軸】しゅうまつちょうばん〔うんどう〕じくterminal hinge axis 

[冠]下顎頭が関節窩に対して最前方,すなわち中心位(終末蝶番位)にあるとき,下顎は両側顆頭を横切る固有の軸を中心とした蝶番開閉運動を,切歯部で約20~25mmの運動範囲内で行うことができる.これを下顎の終末蝶番運動といい,その軸を終末蝶番軸とよぶ.→中心位
axis

①軸
hinge

①ちょうつがい
【習慣性開閉運動】しゅうかんせいかいへいうんどうhabitual opening and closing movement 

[冠]下顎の運動範囲菱形柱内において行われる,後天的に修得された反射的で反復性のある開閉運動である.ほぼ一致した経路をとり,その終始点は咬頭嵌合位である.この運動路は患者の顎,口腔の環境変化,精神状態や姿勢などの要因に影響される.
咬合関係 occlusionオクルージョンとは 
【グループファンクションオクルージョン】ぐるーぷふぁんくしょんおくるーじょんgroup function occlusion 

[冠]側方運動時に,作業側の全歯が側方圧を分担して接触滑走し,非作業側の歯の接触がない咬合様式である.この咬合様式には,中心位と中心咬合位の間に0.5~0.75mmのロングセントリックを導入している.また,側方運動時の作業側の接触滑走は臼歯の頬側咬頭のみであるが,後方臼歯を含めて,すべての歯に負担させることへの疑問もある.
ここもシッカリ分類させましょう
【ミューチュアリープロテクテッドオクルージョン】みゅーちゅありーぷろてくてっどおくるーじょんmutually protected occlusion;mutually protected articulation
《相互保護咬合 mutually protected occlusion》 

[冠]最大咬頭嵌合位にあるとき,臼歯部は前歯部が過剰に接触することを防ぎ,前歯部は下顎のあらゆる方向の偏心運動中,臼歯部を離開させる咬合様式である.この咬合を臼歯離開咬合とよぶこともある.
【犬歯誘導】けんしゆうどうcanine protection;cuspid protection;cuspid rise 

[冠]下顎の偏心運動を,犬歯が垂直,水平被蓋によって誘導することである.咬合様式の一つのミューチュアリープロテクテッドオクルージョンにおいて,この誘導は下顎の偏心運動中,後方歯を離開させる役割を担っている.
【ディスクルージョン】でぃすくるーじょんdisclusion;disocclusion《離開咬合 disclusion》 

[冠]下顎の偏心運動中,対合歯が離開することである.下顎が中心位で閉鎖したとき臼歯は均等に接触するが,偏心運動の際は,作業側の上下顎犬歯のみ,あるいは前歯部の一部が接触し,臼歯部と前歯部が離開する.また前方運動の際には,前歯部のみが接触し,臼歯部は離開する.
【両側性平衡咬合】りょうそくせいへいこうこうごうbilateral balanced occlusion《両側性均衡咬合 bilateral balanced occlusion;
フルバランスドオクルージョン full balanced occlusion》 


[床]咬頭嵌合位と偏心咬合位において,左右側のすべての歯が同時に接触する咬合である.総義歯の維持安定には有効な咬合接触関係であり,両側性平衡咬合が得られていない義歯で患者に滑走運動させると,義歯床は動揺,離脱しかかり,開口すると容易に離脱する.このような義歯床の動きは床下支持組織に損傷を与え,疼痛や炎症を惹起し,義歯の使用を不可能にするばかりでなく,骨の吸収を促進する.両側性平衡咬合が成立していれば滑走運動時にも義歯が安定し,開口しても義歯は維持され離脱しない.現在では,総義歯のための理想咬合とされている.
【片側性平衡咬合】へんそくせいへいこうこうごうunilateral balanced occlusion《片側性均衡咬合 unilateral balanced occlusion》 

[床]義歯の安定が片側のみの咬合面によって得られるような咬合状態であり,側方運動時には作業側のすべての上下顎人工歯が接触する咬合関係をいう.
【平衡咬合】へいこうこうごうbalanced occlusion《均衡咬合 balanced occlusion》 

[床]中心咬合位および機能的運動範囲の偏心咬合位において,左右両側の上下顎咬合面が同時に接触する咬合関係である.粘膜負担義歯では,義歯の安定が片側のみの咬合面によって得られるような咬合条件がある場合に片側性(一側性)平衡咬合が成立し,その咬合を片側性(一側性)平衡咬合という.また,両側の咬合面で義歯の安定が得られる条件がつくり出されている咬合を両側性平衡咬合という.
【歯の位置感覚】はのいちかんかくtooth location sense 

[生]歯を圧迫したとき,どの歯が圧迫されたかを識別する感覚をいい,部位閾(しきい)とよぶこともある.前のほうの歯ほど正確に識別することができる.中切歯では約81%を正確に識別できるが,第二大臼歯では約34%しか識別できない.ただし,左右の歯を間違えることはない.
【習慣性咀嚼側】しゅうかんせいそしゃくそくhabitual chewing side《主咀嚼側 main chewing side》 

[床]日常,無意識に咀嚼している側をいう.咀嚼運動は髄意運動であるが,多くの場合噛みやすい側,いつも決まって咀嚼している側がある.→作業側
【作業側】さぎょうそくworking side《機能側 functional side;咀嚼側 chewing side》 

[冠]側方運動時に下顎の移動する側をいう.この場合,作業側の下顎頭の動きは回転しながら1mm前後外方に移動してベネット運動を生じる.移動方向は複雑であるが,60°の円錐形内に含まれる.→習慣性咀嚼側→平衡側→ベネット運動
ここは完全にアヤフヤになっているところシッカリ整理するとこ
【平衡側】へいこうそくbalancing side《均衡側 balancing side;非作業側 nonworking side》 

[冠]歯列または義歯において,作業側の反対側をいう.本来作業側に対して総義歯の平衡あるいは均衡を保つことから命名された語であるため,有歯顎では非作業側を用いることが多い.→作業側→平衡側接触
【ベネット運動】べねっとうんどうBennett movement;laterotrusion 

[冠]下顎の側方運動時に,顆頭が関節窩の外側傾斜面に沿って動くことによって起こる下顎全体の側方移動,または水平面における作業側下顎頭の運動である.→サイドシフト→作業側→側方顆路〔傾斜〕角
【側方顆路〔傾斜〕角】そくほうかろ〔けいしゃ〕かくangle of lateral condylar path《ベネット角 Bennett angle》 

[冠]下顎の側方運動の際,平衡側の顆頭の移動が正中矢状面となす角である.Gysiは,その平均値は13.9°としている.Lundeenは側方運動に伴う,内側シフト量を除くと,それ以後はほとんど7.5°であると報告している.→ベネット運動
【アングルの不正咬合の分類】あんぐるのふせいこうごうのぶんるいAngle classification of malocclusion 

[矯]Angle, E. H.(1899)により発表された不正咬合の分類法である.彼は上顎第一大臼歯の近遠心的位置は正しいという仮説(上顎第一大臼歯位置不変説)を立て,したがって上顎歯列弓は近遠心的にいつも正常であるとする考えから,上顎歯列弓を規準として,下顎歯列弓の上顎に対する対向関係から不正咬合を分類した.すなわち,第I級,第II級,第III級の3つに分類し,さらに第II級を1類と2類に分類した.この分類法はきわめて簡便かつ有用なので,現在でも広く臨床に用いられる.一方,次のような欠点が指摘されている.(1)いつも上顎歯列弓を分類の基礎としたこと.(2)上顎第一大臼歯の位置を不変であるとしたこと.(3)上下歯列弓の近遠心的関係だけを重視したこと.(4)顔面頭蓋との関係を無視したこと.(5)第I級に属する不正咬合の数が多いこと.→アングルの不正咬合第I級→アングルの不正咬合第II級→アングルの不正咬合第III級アングルの不正咬合の分類
この3つの分類は臨床上正しく知っていることでかなり役に立ちます。

咬合は歯科技工士が構築するもので咬合を語る上では最低限知っていないといけないと思われます。
無歯顎も分類可能

排列の基準になります。
【ケネディーの分類】けねでぃーのぶんるいKennedy classification 

[床]Kennedy(1928)による局部床義歯の分類法である.義歯床と維持装置の前後的位置関係によって4型に分類している.I級は両側性後方歯欠損,II級は片側性後方歯欠損,III級は片側性欠損で前後に維持歯のあるもの,IV級は前方欠損.以上の分類は上下顎共通でI,II,III級には残存歯列内での追加欠損空隙数による変型をもっている.たとえば,I級で1個の中間欠損を併有するものはI級変型1,2個の中間欠損を有するものはII級変型2とよぶ.ケネディーの分類
設計をする上で知らないでは済ませれません。
【アイヒナーの分類】あいひなーのぶんるいEichner's classification

咬合支持域の数を基本とした欠損歯列の分類である。Eichner(1955)により発表された。大臼歯部と小臼歯部で保持される対合歯間の接触を「咬合支持域」とし、支持域の数によって上下の健全歯列から無歯顎までを分類した。上下顎の咬合接触を左右側それぞれ大臼歯群と小臼歯群とに分割し、切歯、犬歯は対合接触が存在しても支持域とは考えないため、健全歯列者では左右側計4つ支持域によって咬合位が支持されていることになる。そして咬合高径は、この咬合支持域によって一定に維持される。歯列の支持機能にとっては、4つの支持域が安定していれば欠損数はさして影響しない。また、欠損の進行と咬合支持域数の推移が密接にかかわっていることを考えられる。しかし、欠損部位や残存歯数との関連についてはこの分類からは把握できないのでケネディーの分類などと併用すれば、臨床上より有効である。
咬合診断にこの分類を使うと術式の選択が簡素化されます。


ここから下はなぜ湾曲が必要なのかです。

【クリステンセン現象】くりすてんせんげんしょうChristensen phenomenon 

[床]平坦に作った咬合床を用いて下顎を前方あるいは側方に動かした場合,後方あるいは平衡側に生じる上下咬合堤間の離開現象をいう.無歯顎患者に咬合床を装着し,前進運動を行わせると,前歯部では水平運動が行われ,臼歯部咬合面間は離開する.この離開する程度は,矢状顆路傾斜度が急であればあるほど大きい.すなわち,顆路傾斜度が0でない限り顆頭は大なり小なり前下方に移動するので後方歯部ほどこの影響を強く受け,臼歯部に生じる離開は後方に向かって開いたくさび状を呈し,その先端は前歯部に向かう.この現象を矢状クリステンセン現象という.このくさびの厚さは矢状顆路傾斜に比例する.また,この咬合床を装着したまま側方運動を行わせると,作業側顆頭はほとんど移動がなく平衡側顆頭は前下内方に相当の距離を移動する.このとき平衡側咬合面間に距離が生じる.この離開は矢状顆路傾斜が急であればあるほど大きい.この現象を側方クリステンセン現象という.総義歯では,これらの現象が生じると床の維持安定が低下するので,通常,上下人工歯の接触を失わせないように,調節彎曲と咬頭の傾斜を利用して人工歯の排列を行い,これらの現象に対処する.→矢状クリステンセン現象→側方クリステンセン現象クリステンセン現象
【側方クリステンセン現象】そくほうくりすてんせんげんしょうlateral Christensen phenomenon 

[床]咬合床を装着した状態で側方咬合させたときに,平衡側上下咬合堤間にできる離開現象をいう.側方滑走運動では,作業側は外側方に水平に近い角度で動く.一方,平衡側では平衡側の矢状顆路,および側方顆路の影響を受けて前下内方に急傾斜で動く.このため,咬合堤咬合面は作業側では接触し,平衡側では離開することになる.→クリステンセン現象→矢状クリステンセン現象
【矢状クリステンセン現象】しじょうくりすてんせんげんしょうsagittal Christensen phenomenon   

[床]下顎の前進滑走運動時に後方に生じる上下顎咬合面間の離開現象をいう.無歯顎者に咬合床を装着して前方運動させると,前歯部では水平運動を行い,臼歯部上下顎咬合堤間は離開する.この離開度は矢状顆路傾斜度に比例する.顆路傾斜度が0°でない限り,顆頭は前下方に移動するので後方歯部ほどこの影響を大きく受け,臼歯部上下咬合堤間に生じる離開は後方に向かって開いたくさび状を呈し,その先端は前歯部に向かう.この現象を矢状クリステンセン現象という.半調節性咬合器の顆路調節に利用される.

クリステンセン現象かぁ~これは臨床的には困った問題を起こしそうだなぁ~

このような現象は無いに越したことはない
湾曲を付けてみましょう
湾曲をつける方法はいくらでもあります
正しい湾曲が付けば動きが確実にスムーズになります。
【咬合湾曲基準板】こうごうわんきょくきじゅんばんocclusal template;orientation plate for compensating curve 

[床]咬合平面の分析ならびに補綴装置の咬合湾曲の形成・付与に用いられる半径4インチの球面をもつ湾曲板である
このような湾曲が付与された補綴物は完璧な自然観を再現できる

排列ジグを使用することで術者の癖が無くなり自然になります。
【歯牙湾曲】しがわんきょくocclusal curvature 

[床]歯列内の咬合面の連なりにより構成される湾曲である.前後歯牙湾曲,側方歯牙湾曲がある.→側方咬合湾曲→スピーの湾曲→ウィルソンの湾曲
【咬合湾曲】こうごうわんきょくcurve of occlusion 

[床]現存する歯の切縁,および咬頭頂を含む湾曲のことをいう.これには前後咬合湾曲と側方咬合湾曲がある.前後咬合湾曲は歯列を側方から観察したときの切端および頬側咬頭頂を連ねた湾曲であり,下顎第一小臼歯から最後臼歯の頬側咬頭頂を連ねた湾曲をスピーの湾曲という.側方咬合湾曲は前頭面における左右側同名歯の同名咬頭を含む湾曲であり,モンソンカーブ,ウィルソン湾曲(上下臼歯の歯軸傾斜)としてとらえられている.義歯の人工歯列に与えたこの湾曲は調節湾曲であり,前後調節湾曲,側方調節湾曲とよばれる.→モンソンカーブ→ウィルソンの湾曲→調節湾曲→スピーの湾曲
【前後咬合湾曲】ぜんごこうごうわんきょくsagittal tooth curve 

[床]歯列弓を側方から観察したとき,大臼歯,小臼歯の頬側咬頭頂を連ねた仮想線が下方に向けて湾曲することをいう.下顎において成立する湾曲はスピーの湾曲という.→スピーの湾曲→前後調節湾曲
【側方咬合湾曲】そくほうこうごうわんきょくlateral tooth curve《側方歯牙湾曲 lateral tooth curve》 

[床]天然歯列において,両側臼歯の頬舌側咬頭頂の連結線を前頭断面上に表した湾曲である.解剖学的な歯牙植立湾曲である.→ウィルソンの湾曲→歯牙湾曲→側方調節湾曲
【前後調節湾曲】ぜんごちょうせつわんきょくantero-posterior compensating curve 

[床]上下顎の歯列を側方からみると,大・小臼歯の頬側咬頭頂を連ねた線は弧を描いている.この湾曲を前後咬合湾曲あるいは前後歯牙湾曲という.このような人工歯の排列時に調節形成される咬合平面の湾曲をいう.この湾曲を人工歯列に与える目的は,矢状クリステンセン現象の防止,義歯の推進現象の防止,前方咬合平衡の保持などである.
【側方調節湾曲】そくほうちょうせつわんきょくlateral compensating curve 

[床]咬合平衡を目的として,天然歯列にみられる側方咬合湾曲を模倣して義歯人工歯列に与えられる側方咬合湾曲である.側方運動時の両側性平衡を成立させるには,人工歯の咬頭傾斜,顆路傾斜,前歯の被蓋などと関連させた側方調節湾曲を与えることが必要である.側方調節湾曲は側方クリステンセン現象を防止し,義歯の転覆や動揺を防止して平衡咬合の確立に役立つ.
【モンソンの球面説】もんそんのきゅうめんせつMonson spherical theory 

[床]Monson, G. S. (1920)によって発表された幾何学的な下顎運動学説である.ボンウィル三角に関連した正常な下顎骨について計測し,下顎頭,切端,咬頭頂は半径4インチ(約10cm)の球面上にあり,下顎運動はこの球面に沿って行われるという説である.球面の中心は篩骨鶏冠付近にあり,各歯の咬合面は歯軸に直交しており,また各歯の歯軸は球面の中心に集まっている.咬合平面の分析・構成や人工歯の排列法において,半径4インチ前後の彎曲として利用されることがある.→アンチモンソンカーブ→モンソンカーブ
【モンソンカーブ】もんそんかーぶMonson curve 

[床]前後および側方の歯牙彎曲を含む咬合彎曲をいう.Monson, G. S. (1920)は,有歯顎の正常な下顎骨を計測し,篩骨鶏冠付近を中心とした直径8インチ(約20cm)の球面に歯の切端や咬頭頂があると報告している.この彎曲はオーラルリハビリテーション時の咬合彎曲の分析・構成などに利用されている.→アンチモンソンカーブ→咬合湾曲→モンソンの球面説
【アンチモンソンカーブ】あんちもんそんかーぶanti-Monson curve 

[床]モンソンカーブ(下方に向かう凸面の咬合湾曲)とは逆に,上方に向かって凸面を形成する咬合湾曲である.上顎第一小臼歯の頬側咬頭頂は舌側咬頭頂と同高かそれよりも下方にあるが,他の上顎臼歯の左右側の咬頭頂を連ねた側方湾曲はモンソンカーブとは逆の上方に凸の状態となる.著しく咬耗した症例では,アンチモンソンカーブ様咬合湾曲を呈すことがある.→咬合湾曲→モンソンカーブ→モンソンの球面説
【スピーの湾曲】すぴーのわんきょくSpee curve《前後歯牙湾曲 sagittal tooth curve》 

[解]歯列を側方からみて,上下顎臼歯の頬側咬頭頂と,犬歯の尖頭および切歯の切縁を結ぶ曲線をいう.臼歯の頬側咬頭頂を結ぶ線は,ほぼ眼窩の内側端を中心とする円弧となる.このため,上顎歯列は下方に凸彎し,下顎歯列は上方に凹彎している.第一大臼歯の位置が最も低い.犬歯の尖頭と切歯の切線を結ぶ線は比較的直線的である.この曲線は機能的に重要な意味をもつので,調節彎曲ともいう.→歯牙湾曲→前後咬合湾曲
【ウィルソンの湾曲】うぃるそんのわんきょくcurve of Wilson 

[床]前頭面に現れる下顎の咬合湾曲である.左右側の大臼歯の頬舌咬頭を連ねてできる側方湾曲であり,前頭面に投影してみると下方に凸を示す.これは,上顎は頬側に,下顎は舌側に歯が傾斜していることによるものである.→咬合湾曲→側方調節湾曲→歯牙湾曲