医院様情報
医院名:丹野歯科医院
ホームページURL:https://www.tanno-dc.com/
住所:東京都荒川区西日暮里3-23-9
院長:平野(旧姓:丹野)光恵先生
目次
- 医院さん横顔
- 近藤義歯研究所について
- 入れ歯相談会について
- 現場での運用
- 先生について
- 最後に
- インタビュアーの取材後記
医院さん横顔
3代続いた歯科医院さんだそうですが。
西日暮里の地元で60年、私が生まれる前から祖父が歯科医院をやっていました。
この建物を祖父が46年前に建てました。
先代院長の父は2022年の1月に亡くなりましたが、前日まで働いていたのです。
86歳で近隣の幼稚園や小学校の検診も行っていました。
御院の特徴は?
入れ歯のオーダーが多いですね。
入れ歯を2~30年使ってくださる患者さんも本当に多いので・・・。
2~30年持っている入れ歯があるのですね?
いっぱいあります、それを目指しています。
この間も、父が作った入れ歯上下の調整があったのです。
10年前に作って、父が最後に診たのが7~8年前。
どうしても痛くなったと来院され「どんな入れ歯なのだろう?」と思って診たのですが、素晴らしいのですよ、義歯が。
調整を1か所しただけでした。
患者さんに「私が言うのも何なのですけど、すごくいい入れ歯なので、このまま使ってください。」と。
調整はさせていただきましたが、バイトも狂ってないし、さすがだなと。
父はいないのですけれど、口の中で勉強させてもらっています。
患者さんはどのあたりからいらっしゃるのですか?
埼玉や千葉はすごく多いです。
越谷、草加、松戸、茨城ではつくば、千葉では稲毛、船橋。
父がいた時は那須から新幹線で来てくださっている患者さんもいました。
みなさん紹介で来て下さるのですね。
小田原の患者さんは3世代、今一番遠い方は長野からいらっしゃっています。
(スラスラと説明されていました)
近くにお住まいの方と、電車で来る方が半々くらいです。
電車に乗って、20年30年40年来てくださっている患者さんが本当に多くてありがたいですね。
近藤義歯研究所について
弊社とのお取引のきっかけを教えてください。
当院は技工士さんが私の生まれる前から2人いて、2階に常駐し入れ歯を作っていました。
6年前にご高齢が理由で辞めることになり、どうしようと思っていました。
新しい技工所さんを探すポイントとして・・・父がイボクラの重合にこだわっていたのですね。
いくらいい印象を採ってバイトを採っても、重合するときの歪みが出ては意味がない、印象も石膏もすべて寸法変化がミリ単位で違ってきます。
イボカップを使っている技工所さんを調べていたら、イボクラのBPSデンチャーというのが出てきたんですよ。
かっこよさそうな入れ歯、しかも、父と違ってシステマティックにできていました。
探した結果、近藤さんともう一つの技工所さんに絞ったのです。
両方に連絡したら、両方とも連絡をくださったのですが、もう一つの技工所さんはたいして相手にしてくれなかったのです。
近藤さんは「すぐ行きます」と言ってくださって・・・「え!来てくれるんだ?!」という感じでした。
とりあえず会ってみようと思いお会いしたら、いろいろな模型を持って来て、清水さんと近藤さんが説明をしてくださって。
すごくいい感じだけどどうしよう、から始まったのが近藤さんとの出会いです。
お取引開始から約8年ですが、弊社を含め歯科技工所とのあり方について教えてください。
昔は技工士がうちにいたから、患者さんを診てもらうのは当たり前だったのです。
毎朝技工士が来て、補綴物を父と私でチェックして、必要があれば降りてきて、シェードチェックをして。
郵送してラボに行ってそれが帰ってきてという違和感、技工士としゃべれないのにどうやって入れ歯を作るんだろうと・・・バイトや、舌とか頬粘膜の状態が全く分からないじゃないですか。
郵送した石膏と紙だけでやり取りするのは本当にいやだったのですね。
自費に関しては、近くに取りに来て話しが出来る技工所さんがあるので、そういう方を探しました。
近藤さんだけでなくて、他のラボさんともやり取りしているんですけど、来てくれることが前提です。
個人でやっている方で、1人でやっていたり、奥様が配達に来てくれたりします。
話が直接できないと入れ歯づくりは出来ないですよ。
先代院長先生の弊社対する評価は、どうだったのでしょうか?
父と仕事をしてもらったことはないのですが、入れ歯相談会も一緒に微笑ましく見ていて、近藤さんがやっていることを面白いって言っていました。
2階の技工室には、父が使っていた咬合器とか、お宝がいっぱい眠っています。
近藤さんが技工士室にあがったら、これは懐かしいですね、と。
入れ歯を磨く機械とか、インレーを磨く機械とかまだ使えます、近藤さん達も見て喜んでくれています。(笑)
入れ歯オタクには垂涎の品なのでしょうね。
そうかもしれませんね。
近藤さんのラボにも行かせていただいて、咬合調整セミナーも受けさせていただきました。
やっぱり行ってみて、どんなところかなと知ることが大事です。
「歯医者は口だ」と思っているところもあるので。
患者さんに説明するための「口」ですね?
はい。
例えば、200万円の入れ歯を作るのに納得しないと無理だと思うんです。
ただ「本当にいいですよ」と言っても分からないじゃないですか?
そのための説明にはものすごく時間を割きます。
「超精密義歯(旧BPS)KGKデンチャー」ってすごい説明が必要な入れ歯です。
患者さんは分からなくて当然、それを分かるように説明するのが私の仕事なのですけど、結構そこが大変で課題ですね。
外注費としての満足度は?
確かにラボ代は高いですよ、仲間にも「そんな高いの?」って言われます。
だけど、それはネックじゃない、私はそれだけの仕事をしてくださればそれを払うのに対して何も思いません。
患者さんからいただきます。
私のポリシーは、患者に最後まで付き合うこと。
いくらいい入れ歯が出来て、こっちが満足しても、患者さんが「いい」って言わなければそれは近藤さんで作っていてもいい入れ歯じゃないはずです。
患者さんにも言います、「絶対にあきらめないでください」って。
私は絶対にあきらめないので、あなたがいいですと言うまでお付き合いします、と。
試適の段階ですごくこだわる方は、2時間くらいかかる方もいます。
試適は近藤さんに来ていただくとお金が掛かるので自分でやりますが、試適も来てもらわないとだめなパターンもあります。
だけどそこでしっかりやっておかないといけない、ケチケチしない。
患者さんが満足したところがゴールなのです。
値段が値段なので、患者さんがやりたいと言ってくれる人じゃないとだめなのです。
大枚はたいて「こんなはずじゃなかった」と思われるのが一番イヤじゃないですか。
患者さん納得するまで、ということですね。
はい、なんでこんなに高いのか?という説明を、1時間2時間掛けてします。
初診は保険自費に関わらず、1時間とります。
自分が病院に行っても「この人に診てもらって大丈夫?」と思うから、最初の信頼関係ってすごく大事です。
「超精密義歯(旧BPS)KGKデンチャー」をやる場合は1回だけじゃなくて2回3回患者さんがいいというまで説明します。
入れ歯相談会について
入れ歯相談会の開催のタイミングは?
最初は春と秋の2回開催していました、コロナがあけて先日1回開催しました。
入れ歯相談会は、どう周知していますか?
カウンセラーの清水さんがお手伝いしてくださいます。
東京は「これに出せばといい」という情報誌がないのです。
入れ歯相談会をやって、人が全然来なかったことはないのですが、相談会やるにも費用がかかるので、どうやってやれば効率よく周知できるかなと思っています。
費用面でマイナスにはならないように、既存の患者さんにも「相談会があるのですが、どうですか?」とお知らせしています。
荒川区の区報や足立区の小冊子、文京区中心に新聞折込チラシを入れたり、結構いろいろやりました。
確実な宣伝媒体があれば、自分の中で確約があれば、宣伝料が20万円掛かろうがもっとできるのですが・・・どうやって皆さんに知っていただくか?をここ10年くらいずっと模索しています。
昔から来ている患者さんは、「先生のいいのでやって」という方が多いです。
「先生にお任せします」という方が多いですか?
はい。
「これくらいかかりますけど」と言っても、現金で持ってきてくださるんです。
だからうちはほぼ現金です。
カードと現金とどちらがいいですか?と言っても、現金の方が9割です。
父が診ていた患者さんがそうなのは分かるのですが、そうじゃない人も現金なのです。
その理由が分かれば、いいのですが・・・。
「丹野庵」という感じの雰囲気が漂っているのでしょうか・・・大先生の存在が大きいですね。「丹野プライド」ですね。歴史を感じられる話です。
父は患者さんが5分遅刻したら帰していましたからね。
患者さん教育めちゃくちゃすごいです。
入れ歯相談会に患者さんはどれくらい来るのですか?
4~5人は来ますよ。
相談会をやると「こういった相談会、本当にありがたいわ」と皆さん言ってくださいますし、清水さんが説明するとその日は「やります」って帰っていただけます。
イベントなので楽しいし盛り上がる、独特の高揚感がありますよね。
清水さんは患者さんに寄り添ってくださいます。
近藤さんと私が作業しているときに清水さんが患者さんとお話ししてくる感じが絶妙なのですよね、あの距離感。
たまに会いたくなっちゃう、清水さんから電話かかってくると嬉しいし。(笑)
先生も清水さんに雰囲気が近いですよ、先生のファンがいらっしゃる?
清水さんもそう言ってくださいます、「超精密義歯(旧BPS)KGKデンチャーをやって下さる患者さんは、皆さん先生のこと好きですよね」って。
根津の病院に通っているのですが、その近くに焼鳥屋さんがあって、根津にお住いの患者さんが「先生今度来たら電話してよ」って誘われました。(笑)
現場での運用
他に依頼している技工所はありますか?
あります。
おかげさまで、うちも入れ歯のオーダーは結構あります。
どうしてもリハビリがしたくないケースがあるのでその場合は、他の技工所さんに依頼しています。
リハビリがあっての「超精密義歯(旧BPS)KGKデンチャー」なんです。
リハビリしないで作っても意味ないと思うのです。
金属床の患者さんや自費の患者さんは、いっぱいいるのです。
保険で来た患者さんを自費にするのは私にとっては難しくないのですが、超精密義歯(旧BPS)KGKデンチャーにするのは難しい。
ここですね。
でもそれも含めて患者さんとのコミュニケーション、結構好きです。(笑)
私の入れ歯に対する考え方の小冊子があるんです。
(「入れ歯のお話」http://www.tanno-ireba.com/truth/pdf/truth01.pdf)
(拝見する)先生の人となりが分かります。「この医院さんで大丈夫か?」という判断材料になります。
「どうして入れ歯がそんなに高いのか?」とか「保険でいい入れ歯はどうしてできないの?」とか「なんで私が入れ歯づくりにこだわっているのか?」とか「何でインプラントじゃなくて入れ歯にしたのか?」とか、父の話とか、日本女子大にいたんだよとか・・・創立者の成瀬仁蔵先生の理念が、今でも私の座右の銘で「信念徹底」「自発創生」「共同奉仕」です。
「超精密義歯(旧BPS)KGKデンチャー」をご指名で来る患者さんはいらっしゃいますか?
先週「BPSがやりたい」って患者さんが見えましたね。
検索してかなり調べていらした患者さんですね、そういう方はすぐに決まります。
患者さんが調べに調べて当たりつけて「BPSってよさそう、じゃあどこでやっているのだろう?」と調べてきてくださる方、結構います。
ファイナル装着時、フードテストのエピソードはありますか?
当院のYouTubeにも上がっているTさんですね。
父は衛生士学校の講師をしていたんですが、授業を受けた学生さんが「うちの父が入れ歯で困っているので、診てください」とお父様を連れてきていただきました。
ずっと昔から来てくださっていて、なぜかその患者さん(Tさん)は私のことを気に入ってくださって、私ご指名で来てくださるのです。
「超精密義歯(旧BPS)KGKデンチャー」を入れる前は、Tさんの入れ歯を自費のメタルプレートで作っていたのですが、なかなかうまくいかなくて・・・。
うちで調整後、駅のパン屋さんでパンを食べて「痛い」と戻ってくる・・・率直に思いを伝えてくださる方です。
そんなTさんが「孫たちが来て焼き肉に行ったんだけれど、牛タンとかぜったい食べられなくて」と言うんです。
私は「え?入れ歯で牛タンなんて食べられる訳ないじゃないですか~」と言ってたのですが、そのあとずっと考えて「入れ歯だから牛タンが食べられないって、ちょっとヘンかも?入れ歯で牛タン食べられるようになったらいいんじゃないかな?」と思うようになったのです。
牛タンが食べられるように!と、Tさんの「超精密義歯(旧BPS)KGKデンチャー」を作りました。
YouTubeで食べているおせんべいは、町会のマージャンに行っておばさんたちが持ってくるおせんべいだそうです。
硬くて食べられなかったおせんべいを「これが食べれるんだよ」と見せてくれました。
その後問題ないか心配で、たまに電話します、そうするとお元気そうで・・・息子の野球の応援にも来てくださったり(笑)
私が「入れ歯で食べられないものがあるのはおかしい」と思わせてくれた患者さんです。
先生について
先生のマイブームは?
ダイエットです。
体脂肪を減らすことに燃えています!
歯科医師会の仕事や学会に出ているので休みはあまり休みっぽくないですね。
最後に
近藤義歯の皆さんにエールをお願いします!
もっと一緒にお仕事したい!です。
インタビュアーの取材後記
思い立ったらすぐ行動、自分の目と手で確認しないと気が済まないバイタリティ溢れ、患者さんにもとことん付き合う先生でした。
OLを経験後、必死で勉強し東京歯科大に入学、毎年奨学生になれる成績だったそうで、その時だけでなく今までも勉強熱心な感じがビンビン伝わりました。
またお話がとてもお上手で、引き込まれる感じでした。
伝統の丹野プライドをさらに発展させ、入れ歯でも牛タンが食べられる人が一人でも多くなるように、どうぞよろしくお願いいたします!